こんにちは、ぐうたらスーパー主婦の糸野つむぎです。
先日お亡くなりになったかこさとし(加古里子)さん。
静かに余韻は続いています。
子ども達への手書きのメッセージ
子ども達への手書きのメッセージが、2011年に鎌倉文学館で開かれた特別展で掲げられていたそうです。それに感動して書き写されていた方が、内容を朝日新聞に投稿してくださいました。(朝日新聞 2018/5/15より引用)
もっとよい世界にするため
科学や学問を身につけ ちがった意見をよくきき
考えをふかめて実行する
かしこい人にみんななってほしいと 願っています
そして 自分のくせや体力に合った
やり方や練習法をみつけて、
自分できたえて、たくましくて
しなやかな能力と すこやかな心を
そなえた人になるよう努力してください」
(原文は漢字によみがながふってあるようです)
大変深い、地球の心髄に響くメッセージです。目の前の子ども達が将来よい世の中を作っていくためのバイブルのようなものです。思春期頃になると、何のために勉強するのか、何のために練習するのか、何のために異文化交流をするのか、という疑問に直面することがありますが、そんな時にこのメッセージを思い出すと答えがあります。
このメッセージを手書きで書き写して、投稿してくれた方は、「かこさんの言葉が子育ての『指針』でした」と、このメモを長男の目につく場所に貼り、ご自身も見返されているそうです。「子どもに知ってほしいけれど、大人でも上手に言うのが難しいことを、易しい言葉で教えてくれた」ともコメントされています。
絵本「にんじんばたけのパピプペポ」の中にもメッセージ
手元にかこさとしさんの「にんじんばたけのパピプペポ」の絵本があります。
20匹のこぶたとおやぶたが、協力して、1本のにんじんからたくさんのにんじんを育てて、まわりの人に分けてあげるお話です。
草ぼうぼうのはらっぱを畑にするためにしたことは、
- はらっぱに深い穴を掘った
- 穴から、土を出し、石ころを出した
- 最後に粘土をたくさん出した
- 水が出て、井戸を掘ることに成功した
加古里子先生、さすが科学者です!さりげなく、こんなこと(井戸掘り)を絵本で体験させてもらいました。
そして、1本のにんじんから種をとり、丁寧にまいて、土をかぶせ、たっぷり水をあげます。そのあとの作業は♪マークのついた歌になり、草取り・水まき・間引き・虫取り・肥やしまきと、こぶた達の作業を楽しそうに描いています。
とうとう、にんじんはたくさん収穫することができました。たくさんとれたにんじんをとてもいい方法でみんなに分けてあげます。
おかねもちからは10円、
ちゃうくらいのかたからは5円、
びんぼうなかたからは1円もらいましたびょうきのかたや、
からだがよわくてこまっているかたには、
ただでそのにんじんをあげました。にんじんばたけのパピプペポ
配分の方法が福祉国家を思わせます。いじわるされた人にも分けてあげて、お礼にお手伝いをしてくれました。彼らはこぶた達と共に、井戸を掘る時に出てきた粘土を利用して、公共の施設を作り上げるのです。粘土を固めてれんがを焼き、積んでいって、保育園、図書館、劇場を作ります。残ったれんがで自分たちの小屋を作りなおします。資源の有効活用であり、社会への立派な貢献です。それがいやみがないのは、作った施設のユニークなデザインのためでしょうか。保育園はキノコ、図書館は本の形、劇場はグランドピアノ、こぶた達の小屋はぶたの顔で、耳がすべり台になっています。
ほらね、とてもほほえましいデザインでしょう?かこさとしさんは、科学者でありながら、文学者、そして建築家だったんですね。後世にとても大切なことを遺してくださいました。
私たちがかこさとしさんの教えから学ぶこと
戦争が終わって生まれた世代の私たちは、戦争の悲惨さを心に留めないといけません。そのうえで、現在の豊かな暮らしに感謝し、先輩たちが築き上げた安定した社会を守り、よりより社会にしていくべきでしょう。
そのために、かこさとしさんが残されたメッセージを深く受け止め、自らが社会の一員として役割を果たすべきです。答えは一つではないでしょうから、議論を深めることも必要でしょう。また、私たちの次の世代も賢い選択ができるように、健やかに成長するように見守るべきでしょう。
いつもいつも、気を引き締めているのは疲れるので、時折でも、このかこさとしさんの子ども達へのメッセージを読み返し、「しなやかな能力とすこやかな心を備える」ように、自問自答していきたいと思いました。