現象を言語化することで救われることがある～③社会記号

こんにちは、つむぎの庭、糸野つむぎです。

「社会記号」って何？

一般に地図帳で使われている建物などを表す記号は「地図記号」です。小学校で学習しますよね？しかし、ここでいう「社会記号」とは、どこからともなく現れて一般化した造語のことです。「コギャル」「女子会」「癒やし系」など。こんな言葉が生まれるまで誰も認識できなかった社会現象であり、これを言語化して定着すると、救われることが多いのです！

市場創る「社会記号」

博報堂ケトルの嶋浩一郎社長と一橋大学の松井剛教授は、ライフスタイルまでを動かす概念を「社会記号」と呼び、構造力を解明している。

「加齢臭」も「おひとり様」もそれらの言葉が生まれる以前は誰も気にしていなかった。「臭いのするおじさんがいる」「一人でごはんを食べる女性が増えた」ぐらいの認識だった。

ところが、新たな現象が「社会記号」として定着すると人は気に病んだり、メーカーは新商品を開発したり、女性が一人で気軽に吉野家に入ったり、消費市場が広がる。

日経MJ　2018/3/19

例えばこんなことも。

「おひとり様」は少し前までは、私にとって寡婦のイメージがありました。しかし、今ではそんなことはなく、夫婦健在・円満であっても、敢えて一人で行動することを好むというイメージに変わってきました。しかも、どちらかと言うと、おひとり様は意識が高く、こだわって行動する人のイメージが大きくなってきました。これは、市場がこの社会記号をもとに商品を作り上げているからかもしれません。

バスツアーのパンフレットを見ても、おひとり様ツアーは豪華でゆとりを大切にしているのが感じ取れます。二人席を一人で使用、広い部屋を一人で使用、夕食は豪華なディナー。しかも、バスツアーに参加するおひとり様たちを寂しがらせない工夫もされています。ツアー参加者全員がおひとり様という共通項があるので、自然と会話や交流が生まれるのかもしれません。「ひとり」だけど「独り」じゃない一人旅、とクラブツーリズムで紹介されています。

社会記号は言葉で人を救う

前出
（嶋氏）
優秀なマーケッターは世の中の潜在的な欲望を見つけて、言語化する。
言葉で人を救う意味もある。おひとり様、婚活、妊活も記号化され、堂々とできるようになった。
事実、婚活マーケットは２桁の伸びである。LGBTも同様。

（松井氏）
名付けられることで人は安心する。体調悪くて病院へ行き、理由を言われると一安心したり。
人間は分けられたくない動物と思っていたが、分けてもらいたい動物かもしれない。

日経MJ　2018/3/19

例えば「婚活」では、

みんなに聞こえているけど、普通におしゃべりしています。「婚活」という言葉の認知度が上がり、堂々とすることができるようになりました。どこの職場も人手不足で忙しく、社内恋愛に期待が薄いのかもしれません。そんな若者に、婚活は自然になってきているのでしょうか。

例えば飲食店での「ぼっち席」。

若い女性が一人で外食をしないといけない場合、一人で迷惑をかけずに座りたいと考えるでしょう。または、人目を気にしていなくても、誰でも一人の時間と空間を楽しみたい場合もありますよね？混雑してきて相席になるのも避けたいところ。そんな時に見つけて嬉しいのが「ぼっち席」。横並びの席でも窓に面していたり、向かい合っていても顔が見えない程度に仕切りがあったり。

独りぼっちはネガティブなイメージがありますが、「独り」を取り去り、「ぼっち」という社会記号になるとイメージが変わります。かわいそうな人ではなく、一人の状態という、お情けの入らないニュートラル意味に変わります。そこをついて、優秀な人がニーズに応えた商品開発をして、受け入れられ、そのマーケットは伸長していくのでしょう。

こんな風に考えると世の中は面白いです。昨年の流行語の「インスタ映え」も浸透して、頭のいい人が販促に使っています。自ら撮影して自社のインスタに載せることはもちろん、お客様に自由に撮影してもらい、インスタなどのSNSで拡散してもらうのです。販促費が無料になるだけでなく、口コミという効果もあります。

固い頭を柔らかくして、新しいコトも受け入れると得をしますね。忙しくて毎日の色々で一日が過ぎてしまいますが、気持ちだけはふわっとしておきたいです。

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