アセビ~可憐、しかし万葉の時代からの生命力

こんにちは、糸野つむぎです。

昨日に続き、白い花シリーズです。なんとなく、ホワイトデー明けで続いています。

アセビの咲き方の特徴

公園で、すずらんのような白い小さな花がすずなりに咲いているのを見つけました。調べてみると、「アセビ」という名前でした。風に揺れると、かわいい高い音で鈴が鳴りそうな感じの花です。丈は低く、とても小ぶりで、一つ一つの花も可憐です。しかし、固まって整列して咲いているので、まるで、「今の私を見て!」と主張するような咲き方です。

アセビは漢字で「馬酔木」、万葉集にも登場

花言葉は「清純な心」、漢字では「馬酔木」(アセビ)と書くそうです。(アシビ)とも呼ばれます。実は、春の季語として使われているのです。万葉集にもたくさん詠まれいることから、昔からあった花ということでしょう。例えば、この歌です。

「磯の上に生ふる馬酔木を手折らめど見すべき君が在りとは言はなくに」

(岩のほとりの馬酔木を手折り、あなたに見せたいのに、

あなたが居るとはもう誰も言ってはくれない)

大伯皇女(天武天皇の皇女)が、弟が謀反の疑いで処刑された時に詠んだ歌だそうです。

たのしい万葉集第二巻より抜粋

アセビには毒性もあり

葉や茎には、有毒の物質が含まれているため、馬が食べると毒にあたって酔ったようにふらふらになる、ということから来ているそうです。しかし、その毒性を利用して、アセビの葉を煎じて畑などに散布すれば殺虫剤として使うことができるとのこと。

 

アセビの落ち葉にも、ほかの植物の成長を抑制する物質が含まれていて、その下では、ほかの植物が育ちにくいそうです。大気汚染、潮風、乾燥にも強く、相当条件の悪い場所でも育つといわれています。ただ、直射日光には弱く、適度な日陰の方が花も葉も美しく育つとか。

庭木図鑑植木ペディアより抜粋

アセビの特徴のまとめ

●毒性があり、ほかの植物を寄せ付けない

●条件の悪い環境でも育つ

●万葉集に登場するほど、古くから日本の庭に使われてきた

●小さい花がすずなりに咲いた状態は可憐そのもの

 

人間の性格にたとえると、

「咲き方に特徴があり、集団行動が上手で、他を寄せつけない生命力がある」

「万葉のいにしえより受け継がれた生命力があるのに、その姿は可憐」

この捉え方の違いは、花の咲き方をポジティブに感じるか、ネガティブに感じるかの違いでしょうか?私の第一印象は小さい花が一列に整列してかわいい、というものでしたから後者でしょうか。しかし、毒性のことを知ってしまうと花の生命の奥深さにも関心してしまいます。

このアセビの生命力の強さと、先にご紹介した万葉集の弟君の処刑には相反する関係にあります。つまり、自然の命と人工的な死。大伯皇女は悲しみに皮肉を込め、敢えて「馬酔木」を選んだのでしょうか?深読みしすぎ?

 

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