女性専用車両①~痴漢被害を理解してから議論しよう

こんにちは、ぐうたらスーパー主婦の糸野つむぎです。

大型連休が終わり、いつもの通勤ラッシュにため息をつかれている方、これをどう思われますか?

女性専用車両って逆差別?

こんな記事があります。

女性専用車に「逆差別」主張

2月、東京メトロ千代田線の女性専用車に男性たちが乗り、電車が遅れたというニュースがあった。

男性たちのグループのブログには、「男性差別」「痴漢でない男性を追い出すのは憲法14条違反」と書かれていた。たった1両の専用車が、憲法を持ち出すほど許せないのはなぜなのか。

 

憲法14条って、何が書かれているか覚えていますか?ちなみ私はピンときませんでした。昔、社会科の時間に教わったことですが、何条に何が書かれているかを細かくは覚えていない方のために、次をどうぞ。

日本国憲法14条
すべての国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分または門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
(後略)

「法の下の平等」だったんですね。でも、女性専用車両のことがなぜ憲法の問題にまで発展するのでしょう?痴漢に悩む女性を助ける良い施策のように思われますが…

このような意見があります。

  • 「自分は絶対に痴漢をしないのに」
  • 「女子は守らないといけないと洗脳されてきたが、男性として優遇されたことはない」
  • 「男児の単独乗車や障害者男性についての配慮も明示すべきだ」

 

なるほど、見る角度がいろいろあるんですね。鉄道会社はおそらく女性に気持ち良く乗車してもらうために専用車を設けたのでしょうが、男性の立場や障害者の立場になると、女性専用車両は女性だけに対する配慮だから、もっと広い視野に立ってほしい、ということなんでしょうね。

 

女性専用車両の現状と被害のダメージ

女性専用車両の現状

「女性専用車両に反対する会」という会があるのを知りました。ここの女性専用車両実施状況は日本の主な路線についての調査を行って発表しています。男児や男性障害者の乗車が可能かどうかも調査しています。時間帯も調査項目にあり、これによると、関東よりも関西の鉄道会社の方が、女性専用車両の時間を限定していない所が多いように見受けられます。関東と混雑の度合いが違うからでしょうか。

 

また、女性専用車両に限定した広告を出している会社もあります。ラッピング車両の場合は、専用車両の区別がつきやすく間違いにくいですね。女性専用車両ということが一目でわかる上に、企業の広告という効果もあり、いわゆる、的を絞ったマーケティング、という分ですね。私なんかは、「賢いなぁ」ぐらいにしか感じませんが、そこから広告収入を得ている鉄道会社のことを快く思わない人もいます。今はこのような広告は減ってきているように思われますが。

 

女性専用車両に対するアンケート結果

2009年に産経新聞が2,936人(男性2,298人、女性638人)に対して実施した女性専用車両に関するアンケートでは、

女性専用車両に対するアンケート

•「痴漢対策に役立つか」→ 67%が「YES」、33%が「NO」

•「性差別につながるか」→ 57%が「YES」、43%が「NO」

•「(女性専用車両があることで)利用に不便さを感じるか」→ 61%が「YES」、39%が「NO」

    痴漢をする人は、女性専用車両以外でもする、ということから、痴漢対策に役立つと回答する人が70%未満だったのではないでしょうか?ただ、問題と考えられるのは、約半数以上の人が、「性差別につながる」「不便さを感じる」と回答していることです。総合すると、女性専用車両は痴漢対策に役には立つが、性差別につながり、不便であるということですね。

     

    若い女性の中には、このような背景の中、女性専用車両に乗りづらいと感じる人もいるようです。これではせっかく導入されていてももったいない話です。不満を解消するために何かの施策があればいいのですが。

     

    たとえば、性差別と言わせないために、

    → 「男性専用車両」の導入は検討されないのか?

     

    不便と感じさせないように、

    → 女性専用車両の隣の車両に「男性専用車両」を設けてはどうか?

     

    ただ、この「○○専用車両」を作ってしまうと、さらにブーイングが起こるかもしれません。

    例えば、

    • 高齢者専用車両
    • 障害者専用車両
    • 子ども専用車両

    など、次から次へとリクエストがあがって大変なことになるかもしれませんね。だから、電車の中で一番大きい問題である「痴漢行為」にスポットをあてた女性専用車両だけで十分かも。

     

    電車内での痴漢の実態

    一番気になるのは、女性専用車両を導入してからの痴漢数が減少しているかということです。これが証明されれば「専用車両は有効なので存続してください」、と大きな声で言えます。しかし、ざっくりと調べてみたところ、そのような資料は見当たりませんでした。

     

    しかし、警視庁が発表している電車内の痴漢撲滅に向けた取り組みに関する報告書という資料から概要をつかむことができました。それによると、

    電車内での被害時間帯と年齢(首都圏)

    •電車内での痴漢発生の時間帯は7~9時が55.3%

    •被害者は15~19歳が49.7%(うち高校生が36.1%)

    痴漢発生の多発時間帯に女性専用車を設定していることは理にかなっています。被害者の約半数が15~19歳というのはショッキングなことです。あなたにもし、お嬢さんがいらっしゃるならとても心配ですよね?ある調査では、高校生でも制服を着ている時の方が私服の時よりも痴漢にあうことが多かったそうです。もし、マジョリティーを守るという目標を立てるなら、ターゲットになりやすい制服着用の高校生ですね。

     

    被害のダメージは大きい

    たかが痴漢、と思われがちですが、被害を受けて深刻なダメージを負うケースもあります。

    深刻なダメージ

    •通勤時間帯の満員電車に乗ることができなくなり、出勤時間をお昼からにしている

    •同じ男性から痴漢被害を受けており、後を付けられたこともあり、不安でたまらない

    •被害を受けて精神的なストレスで一時的に情緒不安定になった

      「男性」を一括りにすることはできませんが、痴漢にあう可能性の大きい男性以外の性の人たち(=女性等)の立場を察することで、この痴漢問題をもう少し身近な問題と捉えることはできないでしょうか?

      ここでは、男性の意識の持ち方について書かれている報告書を引用します。

      男性が、被害女性の受ける精神的苦痛の深刻さを理解することが、電車内における痴漢行為を抑止し、「見て見ぬふりせず助け合う」ことにつながる。

       

      報告書には、他にもたくさんの提案が書かれていますが、ここでは、苦痛の深刻さを理解してもらうことが原点だと思います。戦争、貧困、環境問題など、あらゆる事象においての原点は理解するということです。

       

      女性専用車両において逆差別が論じられている、という事実はありますが、その前に、どうして女性専用車両が導入されたか、つまり電車内での痴漢の実情を理解することが第一歩ではないでしょうか?これは、男性だけに限ったことではありません。

       

      男性に全てを委ねる訳ではなく、女性にもできることはあります。また、まだまだ社会的に取り組める手段もあると思います。次回は、痴漢を減らすために、それぞれの立場でできることの提案について考えてみます

       

       

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